この本をツイート 


★画像クリックで拡大

* * *

書店様用注文チラシ
 (FAX注文用)

お客様用チラシ
 



詩人・尹東柱の文学性に迫る新たなアプローチ

多胡吉郎
生命(いのち)の詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)
『空と風と星と詩』誕生の秘蹟



2017年2月10日刊
46判並製294頁
定価 1900円+税
ISBN978-4-87714-469-2 C0090

装丁:桂川 潤


●目次
●書評・著者インタビュー他
●関連書



「死ぬ日まで空を仰ぎ 一点の恥辱(はじ)なきことを――」
植民地支配下の朝鮮でハングルで詩を書き、自らの詩精神をつらぬいた尹東柱。
暗い時代のただなかで、「民族としても、人間としても、生命をないがしろにし、破壊しようとする巨悪に呻吟しながら」「詩によって真に生きようとした」(本書より)詩人は、日本留学中に治安維持法違反で逮捕され、戦争終結半年前に〝謎の獄死〟をとげた。
今日では日本でも広く愛される韓国の国民的詩人の足跡を辿り、いくつかの知られざる事実を明らかにしつつ、その人、その文学の核心に迫る。

著者はNHKディレクター時代の1995年、「NHKスペシャル」で尹東柱のドキュメンタリー番組『空と風と星と詩――尹東柱・日本統治下の青春と死』を手がけ、以来20年余にわたり独自に尹東柱の調査・研究を重ねてきた。
本書では主に日本との関わりを軸に尹東柱の足跡を実証的に追い、また遺稿や蔵書を読み解き新たな視点からの作品解釈もこころみながら、孤高の詩人の詩精神にあらためて光を当てる。

(尹東柱 ユン・ドンジュ ……1917年生まれ。日本の植民地時代に母国語のハングルで詩を書き、すぐれた作品を残す。日本留学中の1943年、治安維持法違反で逮捕、福岡刑務所に囚われ、45年2月、〝謎の獄死〟をとげる。時局がら生前は一冊の詩集の刊行も果たせなかったが、友人・家族によって守りぬかれた詩稿は戦後韓国で出版され、教科書にも載る国民的詩人に。今日では日本をはじめ国境を超えて広く愛されている。)




〈著者〉

多胡吉郎 (タゴ キチロウ)

作家。1956年東京生まれ。1980年、NHKに入局。ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。1995年、日韓共同制作によるNHKスペシャル「空と風と星と詩―尹東柱・日本統治下の青春と死」を制作。2002年、ロンドン勤務を最後に独立、英国に留まり文筆の道に入る。2009年、日本に帰国。
【著書】『吾輩はロンドンである』(文藝春秋)、『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』(河出書房新社)、『韓の国の家族』(淡交社)、『わたしの歌を、あなたに 柳兼子 絶唱の朝鮮』(河出書房新社)他がある。




◆『命の詩人・尹東柱』 目次◆

はじめに

第1章 『病院』から『空と風と星と詩』へ
      
――詩人誕生の秘蹟にあずかった日本語のメモ
第2章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(前編)
      
――尹東柱と交際した日本詩人・上本正夫
第3章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(後編)
      
――モダニズムとの邂逅と乖離
第4章 同志社の尹東柱。京都で何があったのか?
      
――発見された生前最後の写真を手がかりに
第5章 福岡刑務所、最後の日々(前篇)
――疑惑の死の真相を追って
第6章 福岡刑務所、最後の日々(後編)
――永遠なる生命の詩人
第7章 そして詩と、本が残った
――所蔵日本語書籍から見る尹東柱の詩精神

尹東柱略年譜
あとがき







書 評





●「韓国日報」(韓国) 2018年5月10日より
(韓国での翻訳版の紹介記事より翻訳)


 「尹東柱は生命の詩人、抵抗詩人より高い境地」 
   元記事= http://www.hankookilbo.com/News/Read/201805100446450236

  崔ムンソン記者


 「そして私に与えられた道を歩みゆかねば」――尹東柱(1917~1945)は「序詩」の中でそう誓った。日本の公共放送、NHK出身の多胡吉郎氏(62)は、尹東柱研究を「与えられた道」だと受け取った。30年を超す宿命につき従った結実を、『生命の詩人・尹東柱 ~すべての死に行くものが詩に至るまで』(ハンウル出版社)にまとめた。尹東柱生誕100周年にあたる昨年に日本で出版され、このほど韓国でも翻訳紹介された。

 「尹東柱をすべての人が愛するなら、そして彼の詩精神をすべての人が共有するなら、どれほどよい世の中になるでしょうか」――。ソウルで会った多胡氏は「尹東柱派」であった。尹東柱の詩が「人生の指標」だと語った。東京大学で文学を専攻した多胡氏が尹東柱を知ったのは1984年のこと。その年、日本で出版された尹東柱の翻訳詩集を読んだからだった。

 「東京の街頭で100人の人に『尹東柱を知っていますか?』と尋ねたなら、100人が知らないと答えたに違いない時代でした。尹東柱の詩は(それまでに出会った詩とは)全く違っていたのです。単純に美しいということではなく、人間の真理、生の真実を教えてくれました。日本人に尹東柱詩人を知ってもらいたいという使命感を感じました。」

 (今回の)本は、多胡氏が足で取材し、研究、発掘した尹東柱の詩と生の記録である。氏は「生命」として尹東柱の詩を読む。「星を歌う心ですべての死にゆくものを愛さなければ」――「序詩」の「死にゆく」は、英語の「mortal(必滅の)」で解析する。死ぬ運命をもつということ自体が、生きているということの証しであり、尹東柱が愛さなければと誓った対象は「すべての生きているもの」であるというのが氏の解釈である。

 尹東柱を生命の詩人であると定義するのは、彼を抵抗詩人に仕立てた日本の悪業に目をつぶることではないのか――。「日本の(犯した)罪から逃げようということではありません。『死にゆくもの』を韓民族の文化であると見るのは、韓国人の立場からすれば当然でしょう。しかしながら、尹東柱の詩はより高いところに到達したのです。民族詩人、抵抗詩人ではなかったという話ではなく、そのように限定してしまうには、彼の詩世界がはるかに広く深いものだということなのです。」尹東柱の所蔵図書のうち、ドイツの哲学書『近代美学史』の中の「死にゆく定めの創造者詩人」という文言に、傍線や丸を付した跡がある。「死にゆく定めの」という存在論的意味を尹東柱が深く省察した証拠だと多胡氏は読み解いた。

 詩集『空と風と星と詩』のもともとのタイトルは「病院」であった。尹東柱自筆詩集の表紙には、「病院」というタイトルを書いて消した跡がある。「病院が意味する死、暗黒、絶望」から跳躍したということなのです。延禧専門学校(現延世大学)の卒業記念に詩集を出そうとしたが、そのような抵抗的内容では(出版は)難しいと聞かされた時だったでしょう。苦悩に見舞われた人間は堕落しがちなものですが、尹東柱はむしろ強くなったのです。尹東柱は内面に刀をもっていました。他人に向ける刀ではなく、自身に向ける刀だったのです。それは『懺悔』や『恥ずかしさ』という詩語として現れているのです。」

 尹東柱が福岡刑務所で生体実験の犠牲になったという主張は、未解決の問題として残った。「ジャーナリストとして執拗に追跡しました。(しかし刑務所をあげての)アウシュヴィッツのようなこと(ジェノサイド)が起きたという証拠はありません。ただ、近くの九州大学の医師が服役者を対象に個人的にそういう実験をしようと思ったならば可能だったということなのです。」尹東柱没後50年であり光復(解放)50周年でもあった1995年に、多胡氏はKBS(韓国放送公社)・NHKの共同制作による尹東柱のドキュメンタリーを手がけた。当時取材過程で多胡氏が発掘したのが、尹東柱生前最後の写真であり、日本での面影を伝える唯一のものとなる写真であった。


☆写真キャプション① ソウル世宗路の韓国日報社で会った多胡吉郎氏。彼は「尹東柱の詩は作品の中に留まらない。国境と言語を超越する世界的存在だ」と語った。

☆写真キャプション② 多胡吉郎氏が探し出した尹東柱詩人(左から2番目)の写真。尹東柱の生前最後の写真であり、日本での姿を留める唯一の写真でもある。京都同志社大学の学友たちとピクニックに出かけた時の姿である。日帝に逮捕される約2カ月前にあたる1943年夏に撮影。

☆注 日本で出されたオリジナル本の題名は『生命の詩人・尹東柱 ~『空と風と星と詩』誕生の秘蹟~』であるが、韓国版では、『生命の詩人・尹東柱 ~すべての死にゆくものが詩に至るまで~』と副題が改められた。





●「ふぇみん」 2017年5月25日より








●「図書新聞」 2017年5月20日より








●「朝日新聞」夕刊 2017年5月10日より








●「民団新聞」 2017年4月26日より


<読書>生命の詩人・尹東柱…「序詩」誕生の秘密明かす


 副題に『空と風と星と詩』誕生の秘蹟とある。著者はNHKディレクターだった1995年当時、戦後50年の企画として韓国KBSと国民的詩人・尹東柱を題材にドキュメンタリーを制作した。その後の取材等も含めて、詩人の人間性や文学性に新たに光を当てたのが本書である。

 「死ぬ日まで空を仰ぎ一点の恥辱なきことを」で始まる「序詩」の強烈な印象は、見た者の感性をとらえて離さない。20代の頃から尹東柱の詩に魅せられた著者は、「序詩」を含む詩集『空と風と星と詩』が、もとは『病院』だったことや、「序詩」が詩集完成後に加筆されたことを疑問に思ってきた。

 しかし、その背景には英語の言葉「MORTAL(限りある命を生きる)」があること、詩人の内面世界に聖書の影響があることに気づかされた。英国勤務中の40代だった。死の淵にいた民族を、より高い生命の次元へと昇華させることに懸けた人生を顕彰させたいと思った。

 今年は尹東柱生誕100年。中国、北韓、韓国、日本へたどった越境の詩人は、27歳の若さで福岡刑務所で獄死した。生前1冊の詩集も出せなかったが、毎年命日の頃には、ゆかりの地である東京、京都、福岡などで、韓国よりも盛んに追悼行事が催される。人々の心の中に生き続ける詩人になった。

(2017.4.26 民団新聞)







●「社会新報」 2017年4月12日より









●「出版ニュース」 2017年4月中旬号 より







●「西日本新聞」 2017年4月2日より










●「東洋経済日報」 2017年3月31日より











●「東京・中日新聞」 2017年3月26日より

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2017032602000182.html









●「週刊読書人」 2017年3月24日より

http://dokushojin.com/article.html?i=1076











●「東亜日報」(韓国) 2017年3月14日より

http://news.donga.com/NewsStand/3/all/20170314/83309421/1








●「朝鮮新報」 2017年3月8日より

http://chosonsinbo.com/jp/2017/03/0304ib/










●「東洋経済日報」 2017年2月24日より











◆関連書◆


 『尹東柱全詩集 空と風と星と詩』 尹 東柱(ユン・ドンヂュ) 著/尹 一柱 編/伊吹郷 訳 【品切】


 『歌集 一族の墓』 金 夏日(キム・ハイル)
  

 『鳳仙花のうた』 李 正子(イ・チョンジャ) 著

 『歌集 沙果、林檎そして』 李 正子(イ・チョンジャ)

 『日本型ヘイトスピーチとは何か』梁 英聖(リャン・ヨンソン) 著

 『ヘイトスピーチはどこまで規制できるか』
 LAZAK(在日コリアン弁護士協会) 編、板垣竜太、木村草太 ほか著

 『#鶴橋安寧―アンチ・ヘイト・クロニクル』 李信恵 著

 『ロマ 「ジプシー」と呼ばないで』 金子マーティン 著

 『父とショパン』 崔 善愛(チェ・ソンエ) 著

 『あの壁まで』 黄 英治(ファン・ヨンチ) 著

 『記憶の火葬――在日を生きる―いまは、かつての〈戦前〉の地で』 黄 英治(ファン・ヨンチ) 著

 『秤にかけてはならない―日朝問題を考える座標軸』 徐 京植(ソ・キョンシク) 著

 『羊の怒る時』 江馬 修 著