「男や女、そんなことには関係なく、
おまえがかなえたい夢を、必ずかなえろ」(本文より)
両班家の娘14歳のミョンヘ。両親はいつまでも子ども扱いする一方で、「早く嫁に行け」とうるさい。兄の口添えで、「結婚までの少しのあいだ」ミョンヘも首都・京城の女学校へ通えることに。
しかし、時は日本の植民地時代。厳しい武断統治の結果、ついに1919年、「朝鮮独立万歳!」をさけびぶ「3・1独立運動」が始まる。
そんな時代のうねりの中で、ミョンヘが見たものとは……。
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家父長的価値観が根強く残る一方で近代化の波が押し寄せる朝鮮を舞台に、旧習に立ち向かって医師になる夢を育てていく少女を描いた韓国のYA小説。
ボールペンのみで描かれた繊細で深みのある絵も、作品と一体となって叙情的な美しさを添えます。
☆第11回 チャンビ 「すぐれた子どもの本」創作部門大賞受賞作 !
☆韓国の中学校の国語教科書にも採用。
☆挿絵23枚、うちカラー挿絵6枚
【対象:中学生以上~大人まで】
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〈著者〉
キム ソヨン (金 昭妍)
1972年ソウル生まれ。梨花女子大学卒業。2004年、短篇「しあわせな石けん」でセムト文学賞受賞。05年、中篇「花ぐつ」で月刊『オリニトンサン』童話公募・最優秀賞受賞。07年、本作「ミョンヘ」で第11回チャンビ「すぐれた子どもの本」原稿公募・創作部門大賞受賞。『男寺党チョマギ』で男寺党に入り自立していく少年を、『野蛮の街』で関東大震災時の朝鮮人虐殺を、『さよなら朝鮮』でロシア人と地理調査にたずさわる韓国の少年を描いた。本作品は2010年、フランスでも翻訳出版された。
〈装画・挿絵〉
チャン ホ (張 虎)
1962年全羅北道金提生まれ。弘益大学美術大学卒業(西洋画)。ソウル民族美術委員会に所属し現実参与美術活動を行なう。2005年から児童書の挿絵や絵本を描く。09年、絵本『月はどこにのぼってるの?』がボローニャ国際児童図書展「今年のイラストレーター」に選出。10年、『子犬』で韓国児童図書展イラストレーター部門・文化体育観光部長官賞(大臣賞)受賞。14年6月、病気のため早世。書道にも秀でていた。
〈訳者〉
吉仲貴美子 (よしなか きみこ)
1946年東京生まれ。結婚を機に関西にすむ。夫の海外赴任に伴い渡韓。日本語の堪能な韓国人女性に刺激されて韓国語を学び始める。「北十字星の会」会員。「オリニほんやく会」会員。共訳書:『鬼人のすむ家』(素人社)、『韓国古典文学の愉しみ』(白水社)ほか。
〈訳者〉
梁 玉順 (ヤン オクスン)
1945年大阪市生れ。在日コリアン2世。「オリニほんやく会」会員。1968年法政大学社会学部卒業。介護関連の著述をへて児童文学作品翻訳に。訳書:『1945,鉄原』(影書房)。共訳書:『日本がでてくる韓国童話集』『愛の韓国童話集』『鬼神のすむ家』(以上、素人社)ほか。
〈解説〉
仲村 修 (なかむら おさむ)
1949年岡山県生まれ。韓国児童文学翻訳研究家。岡山大学・大阪外大をへて教育現場に。その後仁荷大学大学院留学。「オリニほんやく会」主宰。ブログに「オリニの森」。著書:絵本『ユガンスン』(ソウル書林)、訳書:『わら屋根のある村』(てらいんく)、『朝鮮東学農民戦争を知っていますか?』(梨の木舎)、『韓国昔ばなし』上下(白水社)ほか多数。
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