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やっぱり、だいじなのは友だち!

アレクス・ウェディング/金子マーティン訳・解題(チェ)(ソン)()解説

エデとウンク――1930年 ベルリンの物語


2016年6月刊
四六判並製291頁
定価 1800円+税
ISBN978-4-87714-463-0 C8097

装丁:桂川 潤


●目次
●書評
●関連書



「やっぱりきみは、ほんとうのジプシーなの?」
「そうよ。どうってことないじゃない」

ベルリンの街角で、エデは「ジプシー」(ロマ民族)の少女・ウンクと偶然出会いました。

物語の舞台は1930年、ドイツ・ベルリンの労働者街。工場を突然クビになったおとうさんのピンチを救おうと、12歳の少年エデが、ウンクやその家族、親友のマックセ、工場でストライキ中のマックセのおとうさんたちの力を借りて大活躍。そしてエデは、人として大切なことを学んでいきます。

著者のアレクス・ウェディングは、1929年に当時9歳のウンクとその家族や友だちと出会い、かれらの話をこの本にまとめました。この本が出版されて2年後に、ドイツではナチスが政権をとります。
ベルリンに暮らす「ジプシー」を当時としては珍しく好意的に描いた本書は、ナチスによって禁書にされ、ユダヤ系の共産主義者だった著者は、ドイツからの亡命を余儀なくされました。
本書は、物語と同時期(ワイマール期)に書かれ、ナチス時代に禁書とされ、戦後は東西のドイツで読みつがれてきた、本邦初翻訳の児童文学のロングセラーです。

ナチスは「ジプシー」(ロマ民族)を、ユダヤ民族と同様に「劣等人種」とみなし、強制収容所へ送り虐殺しました。この物語に登場する11人のロマのうち、ホロコーストの生存者はわずかに1人のみです。
本書では、ナチス時代のロマ民族の経験について、そして現在も続いているロマへの差別について、訳者でロマ研究者の金子マーティンさんによる詳細な解題(「ウンクたちのその後」)を付しました。
さらに、ピアニストの崔善愛さんによる胸を打つ解説「『エデとウンク』と私たち」も収録しています。




〈著者〉
アレクス・ウェディング(Alex Wedding)

1905年オーストリア・サルツブルク市に生まれる。
1931年、本作『エデとウンク―少年と少女のための物語』をベルリンのマリク出版より刊行。1936年、2作目の『北極海はよぶ』をロンドンへ移転したマリク出版より発行、戦後は児童文学作品8冊を刊行した。
ナチス政権時には、彼女も夫も共産党員でユダヤ系であったため、1933年にプラハへ、その後パリを経て、ニューヨークへ亡命した。戦後1950年から52年にかけて中華人民共和国で過ごし、53年から66年に亡くなるまではベルリンで暮らした。
本作はナチスによって発禁にされたが、戦後の旧東ドイツでは版を重ね、1972年には旧東ドイツの5年生の必読図書に選定された。73年には旧西ドイツの出版社からも発行、著者の生誕100年にあたる2005年には、ベルリンのノイエス・レーベン出版社から、1931年版初版と同じ写真を表紙に使った新版が発行された。


〈訳者〉
金子マーティン(かねこ まーてぃん)

1949年イギリス・ブリストル市に生まれる。83年オーストリア国籍を取得。78年ウィーン総合大学で哲学博士号を取得。91年から日本女子大学人間社会学部現代社会学科教員。
主な日本語の著訳書:『ロマ 生きている炎 少数民族の暮らしと言語』(編訳、彩流社)、『あるロマ家族の遍歴 生まれながらのさすらい人』(編訳、現代書館)、『スィンティ女性三代記(上・下)』(編訳、凱風社)ほか。


〈解説〉
崔 善愛(チェ ソンエ)

1959年兵庫県生まれ、北九州市出身。愛知県立芸術大学大学院修了。米国インディアナ州立大学大学院に留学。ピアニスト。
主な著書:『十字架のある風景』(いのちのことば社)、『ショパン』(岩波ジュニア新書)、『父とショパン』(影書房)、『自分の国を問いつづけて』(岩波ブックレット)







◆『エデとウンク』 目次◆

[本篇]『エデとウンク』(アレクスウェディング著/金子マーティン訳)
第1章 シュペルリング家はそれを予期できなかった
第2章 緑色の家馬車の女の子、ウンク
第3章 滝のように口達者なアーベントストゥンドさん
第4章 腐った魚の島
第5章 すべての悪行が悪いわけではない
第6章 新しい友だちと新品の自転車
第7章 救世主、ヌッキおじさん
第8章 「エデにお礼をいうべきでしょう!」
補遺・不思議な出会い、ウラルルの国、ジプシー語の便りやそのほかのこと



[訳者解題]
「ウンクたちのその後」(金子マーティン)
1 ロマ民族とは
2 ワイマール共和国時代の差別政策
3 ナチス政権下のウンクたち
4 アレクス・ウェディングと『エデとウンク』
5 ホロコーストの犠牲者・ロマの追悼と「反ジプシー」の動き

[解説]
「『エデとウンク』と私たち」(崔善愛)

訳者あとがき
 







書 評





●「図書新聞」 2016年7月30日より







●「社会新報」 2016年9月14日より








●「ふぇみん」 2016年9月15日より








●「出版ニュース」 2016年9月中旬号より











◆関連書◆

 『ロマ 「ジプシー」と呼ばないで』 金子マーティン 著

 『みんなが殺人者ではなかった』 ミヒャエル・デーゲン 著/小松はるの・小松博 訳

 『父とショパン』 崔 善愛(チェ・ソンエ) 著

 『〈物語〉の廃墟から』 高橋哲哉対話・時評集1995-2004

 『羊の怒る時』 江馬 修 著