この本をツイート Tweet
★画像クリックで拡大
【書店様へ】
●ぜひ〈反ヘイト本〉コーナーの設置を!⇒ こちら
●『#鶴橋安寧』 販促用パネル ⇒ こちら
●『#鶴橋安寧』 販促用POP ⇒ こちら
※パネル、POPはご連絡頂ければお送りいたします。
★ヘイトスピーチ被害当事者の声
李 信恵 著
#鶴橋安寧――アンチ・ヘイト・クロニクル
2015年1月刊
四六判並製262頁
定価 1700円+税
ISBN978-4-87714-453-1 C0036
●目次
●書評
●編集部より
●関連書
●本のチラシ(PDF)
*著者の李信恵氏が「在特会」と同会元会長・桜井誠氏、および「まとめサイト」の「保守速報」を訴えた民事裁判・「反ヘイトスピーチ裁判」については、こちらをご覧ください。
ネット上に蔓延し、路上に溢れ出したヘイトスピーチ。ようやくTVニュースなどでも社会問題として取り上げられるようになり、法規制への議論も進んでいるが、被害当事者の声は届いているだろうか?
在日コリアン2.5世の著者は、ネット媒体などで活動するフリーライター。著者は、ネットに書いた記事が発端となり、次第にネトウヨのターゲットに、そしてツイッターで連日集中砲火を浴びせられるようになり、さらにはリアル世界でも「在特会」会長ほか「行動する保守」のメンバーらの標的となって、深刻な被害を蒙ってきた。
本書は、底知れぬ憎悪をむき出しにし、ヘイトスピーチを撒き散らす差別扇動者たちに応戦しつつ、「心を殺され」ながらもカウンター活動に、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判傍聴に、そして「在特会」会長等を訴える民事裁判提訴(14年8月)へと疾駆してきた著者の、およそ2年わたる活動記録に、家族や人、街にまつわる「在日の歴史」を重ね綴った初の単行本。
〈著者紹介〉
李信恵
(リ・シネ)
1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日コリアン2.5世。フリーライター。
大学在学中から記者としての活動を始め、女性誌や地域情報誌で記事を執筆。
現在はインターネットのニュースサイト(アジアプレス、ガジェット通信)をはじめ、
新聞(日刊ゲンダイ)や月刊誌(部落解放、ヒューマンライツ、イオ)、
ラジオ(ラジオフォーラム)など各種媒体でライター、取材記者として活動。
日本国内の差別問題、従軍慰安婦問題、教育問題等に取り組んでいる。
また、韓国のニュースサイト(JPNEWS)やテレビ局(KBS、MBC)などとも提携し、
日韓や在日、ヘイトスピーチなどの問題についての記事や番組を制作し、発信している。
2014年やよりジャーナリスト賞受賞。
日本人の夫、息子、愛犬のキムチ♀と暮らす。
書 評
●「解放新聞」 2015年5月18日(第2715号)より
http://www.bll.gr.jp/colum2015/col-book-20150511.html
最近の本屋さん。気分が悪くなる店がある。いわゆる嫌韓本とよばれる類いの本を平積みにしている店だ。手にとっている客など見かけないが、なぜか幅をきかせている。その中身といえば韓国と韓国人にたいする悪口のオンパレード。「ヘイトスピーチと変わりないんじゃ…。いや、それ以上」と読んだ感想をもらす人もいるほどのおぞましさ。
1980年代の国際化の波にあわせ、多民族共生の社会を求めるとりくみがおこなわれてきたが、どこかうわすべりしていたのかもしれない。いま一度、在日コリアンの声に耳を傾け、歴史に学んでヘイトスピーチに向きあう必要があるだろう。
そのための一冊として、おすすめなのが『#鶴橋安寧』。著者の李さんはヘイトスピーチの被害者だ。名指しで「殺せ」とコールされた体験をもつ。「日々、刻まれていれば、完全に治癒することも望めない。薄いかさぶたのように、ちょっとした刺激でまた血が噴き出す」ような思いをしているが、泣き寝入りすることなく、現在の在持会顧問を相手取った裁判など2件の民事訴訟をおこして闘っている。けっして闘士ではない女性ジャーナリストの思いがつまっており、差別の本質に迫ろうとする姿勢に学ぶところが大きい。(土)
●「ふぇみん」 2015年4月5日号より
http://www.jca.apc.org/femin/book/20150405.html
●「週刊金曜日」 2015年3月13日号より
●「図書新聞」 2015年3月14日号より
●「出版ニュース」 2015年3月下旬号より
●「毎日新聞」(夕刊) 2015年3月3日より
在日コリアンの著者は、ネット上で「殺そう」と脅迫され、街頭で唾をかけられる。それでも職業ライターとして、当事者の女性として、強くしなやかに差別と闘う。「朝鮮人は出て行け」と公道で叫ぶ集団が生まれ、政権の非寛容も目につく中、ただの傍観者になっていないか。日本に生きる一人一人に問いかける一冊だ。
●「朝鮮新報」 2015年2月23日号より
[編集部より]
本書の著者・李信恵氏は在日コリアン2.5世、ネット媒体などで活動するフリーライターです。
著者は、ネットに書いた記事が発端となり、ネトウヨの標的としてツイッター等で連日、「朝鮮半島へ帰れ」「チョンは駆除」「チョンは差別されて当然。殺されて当然」などといった醜悪なヘイトスピーチの集中砲火を浴びせられるようになり、さらにはリアル世界でも「在特会」桜井(元)会長ほか「行動する保守」の標的となって直接暴言を浴び、ネットに動画を晒され、深刻な被害を蒙ってきました。今もその被害は続いています。
本書は、ヘイトスピーチを撒き散らし、差別・排外思想をむき出しにするレイシストたちに応戦しつつ、「心を殺され」ながらもカウンター活動に、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判傍聴に、そして「在特会」会長等を訴える民事裁判提訴(14年8月)へと疾駆してきた、被害当事者である著者のおよそ2年わたる活動記録に、家族や人、街にまつわる「在日の歴史」を重ね綴った初の単行本です。
ようやくマスメディアも社会問題として取り上げるようになり、法務省も重い腰を上げ始めたヘイトスピーチ問題ですが、ヘイトスピーチを浴びる被害当事者の声が取り上げられることは少なく、在日コリアンの来歴や歴史的に醸成されてきた差別状況にまで言及されることもまずありません。
歴史否定論の隆盛とネットの普及が重なり、差別のハードルは下がりつづけ、ついに「殺せ」という声が路上で叫ばれる危機的な状況に陥りました。
焦燥感が募る中、ネット上で正面からレイシストと対峙し、路上のカウンター活動にも参加している著者に、2013年10月に本書の原稿依頼をしましたが、その後も著者は様々な差別被害に遭遇し、なかなか執筆は進みませんでした。執筆に際して数々の差別被害を追体験しなければならないこともあり、書くこと自体が苦痛を伴うものだったことは想像に余りあります。
そんな著者を支えたのは、第一に共に闘う仲間の存在であり、そして本書の「在日の街と人と」の章で描かれているような、誇りを捨てずに日本社会で生きてきた在日コリアンの「歴史的記憶」だったと思われます。
本書では、レイシストに向き合うことの怖さが率直に語られています。反論の声を上げればたちまち標的となり、「イヤなら(朝鮮に)帰れ」と言われ、その何倍も叩かれ、結果、多くは沈黙を強いられる。この理不尽さは、在日コリアンを戦後、一方的に「外国人」と見なし、生きるための権利を奪ってきた日本国家のありようがそのまま反映されたものでしょう。
被害を被害として認めようとしない日本社会の姿勢が、いかに在日コリアンの被差別の記憶に一層の暗い影を落とし、立ち上がる力を奪ってきたか。
そうした状況のなかで立ち上がった、日本人も含む反差別カウンターの思い、彼・彼女等がその先に見据えるものはなにかといったものを、本書から読み取っていただければ幸いです。
また本書には、朝鮮学校出身者でない著者が、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判傍聴や福島朝鮮学校の除染作業などで出会った在日同胞との人間関係を通じて、自身の立ち位置を再確認していく過程も描かれています。この日本社会の中で「在日」が置かれた状況の複雑さ、困難さの一端が垣間見えます。
「在特会」らの行動がエスカレートし、ヘイトスピーチという言葉が社会に流通し始めて以降、被害当事者がその思いを自ら記した単著としては、本書が最初のものになるのではないかと思われます。被差別当事者の声が、これから進むであろう法規制の中で生かされるよう、戦後70年に際し社会的にも尊重されるよう願わずにはいられません。
2015年1月 影書房 編集部
◆関連書◆
『日本型ヘイトスピーチとは何か――社会を破壊するレイシズムの登場』 梁 英聖(リャン・ヨンソン) 著
『ヘイトスピーチはどこまで規制できるか』
LAZAK(在日コリアン弁護士協会) 編、板垣竜太、木村草太 ほか著
『友だちを助けるための国際人権法入門』 申惠丰 著
『映画でみる移民/難民/レイシズム門』 中村一成 著
『ロマ 「ジプシー」と呼ばないで』 金子マーティン 著
『鳳仙花のうた』 李 正子(イ・チョンジャ) 著
『歌集 沙果、林檎そして』 李 正子(イ・チョンジャ) 著
『父とショパン』 崔 善愛(チェ・ソンエ) 著
『歌集 一族の墓』 金 夏日(キム・ハイル) 著
『あの壁まで』 黄 英治(ファン・ヨンチ) 著
『記憶の火葬――在日を生きる―いまは、かつての〈戦前〉の地で』 黄 英治(ファン・ヨンチ) 著
『秤にかけてはならない―日朝問題を考える座標軸』 徐 京植(ソ・キョンシク) 著
『尹東柱全詩集 空と風と星と詩』 尹 東柱(ユン・ドンヂュ) 著/尹 一柱 編/伊吹郷 訳
『羊の怒る時』 江馬 修 著