関東大震災時の朝鮮人虐殺。その事実の隠蔽のためにフレームアップされた《朴烈=金子文子大逆事件》。死刑判決を受けた文子は、転向を拒否し恩赦状も破り棄て、天皇制国家と独り対決する。文子はなぜ当時の支配的価値観から自由たり得たのか。
従来の研究・探索の成果を踏まえ、基礎文献に丹念にあたり、獄中自死に至るまでの文子をめぐる環境、内面の葛藤を辿った決定版評伝。事件の核心に切り込みつつ、日本の近代と金子文子の全生涯・思想の今日的意味を問う。
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〈著者略歴〉
山田昭次(やまだ・しょうじ)
1930年 埼玉県に生まれる.
1953年 立教大学文学部史学科卒業.
1962~95年 立教大学一般教育部に勤務.
立教大学名誉教授.
[著 書]
『近代民衆の記録6 満州移民』新人物往来社 1978年(編著)
『生きぬいた証に――ハンセン病療養所多磨全生園朝鮮人・韓国人の記録』緑蔭書房 1989年(共著)
『近現代史のなかの日本と朝鮮』東京書籍 1991年(共著)
『隣国からの告発――強制連行の企業責任2』創史社 1996年(編著)
『日朝条約への市民提言――歴史的責任の清算と平和のために』明石書店 2001年(共著)
『関東大震災時の朝鮮人虐殺――その国家責任と民衆責任』創史社 2003年
『関東大震災朝鮮人虐殺問題関係資料Ⅴ 朝鮮人虐殺関連新聞報道史料』全4巻・別冊1 緑蔭書房 2004年(編・解説)
『朝鮮人戦時労働動員』岩波書店 2005年(共著)
『植民地支配・戦争・戦後の責任――朝鮮・中国への視点の模索』創史社 2005年
『震災・戒厳令・虐殺――関東大震災85周年朝鮮人犠牲者追悼シンポジウム―事件の真相糾明と被害者の名誉回復を求めて』三一書房 2008年(共著) 他
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