金子文子研究の決定版

山田昭次
金子文子
――自己・天皇制国家・朝鮮人


1996年12月刊
四六判上製382頁
定価 3800円+税
ISBN978-4-87714-227-8


●目次
●書評・関連記事
●関連書


*「正誤表」


東大震災時の朝鮮人虐殺。その事実の隠蔽のためにフレームアップされた《朴烈=金子文子大逆事件》。死刑判決を受けた文子は、転向を拒否し恩赦状も破り棄て、天皇制国家と独り対決する。文子はなぜ当時の支配的価値観から自由たり得たのか。
従来の研究・探索の成果を踏まえ、基礎文献に丹念にあたり、獄中自死に至るまでの文子をめぐる環境、内面の葛藤を辿った決定版評伝。事件の核心に切り込みつつ、日本の近代と金子文子の全生涯・思想の今日的意味を問う。



〈著者略歴〉

山田昭次(やまだ・しょうじ)

1930年 埼玉県に生まれる.
1953年 立教大学文学部史学科卒業.
1962~95年 立教大学一般教育部に勤務.
立教大学名誉教授.

[著 書]
『近代民衆の記録6 満州移民』新人物往来社 1978年(編著)
『生きぬいた証に――ハンセン病療養所多磨全生園朝鮮人・韓国人の記録』緑蔭書房 1989年(共著)
『近現代史のなかの日本と朝鮮』東京書籍 1991年(共著)
『隣国からの告発――強制連行の企業責任2』創史社 1996年(編著)
『日朝条約への市民提言――歴史的責任の清算と平和のために』明石書店 2001年(共著)
『関東大震災時の朝鮮人虐殺――その国家責任と民衆責任』創史社 2003年
『関東大震災朝鮮人虐殺問題関係資料Ⅴ 朝鮮人虐殺関連新聞報道史料』全4巻・別冊1 緑蔭書房 2004年(編・解説)
『朝鮮人戦時労働動員』岩波書店 2005年(共著)
『植民地支配・戦争・戦後の責任――朝鮮・中国への視点の模索』創史社 2005年
『震災・戒厳令・虐殺――関東大震災85周年朝鮮人犠牲者追悼シンポジウム―事件の真相糾明と被害者の名誉回復を求めて』三一書房 2008年(共著) 他






◆『金子文子』 目次◆

はじめに

第一章 幼少期の金子文子の日本体験
第二章 金子文子の朝鮮体験
第三章 自立への模索
第四章 既成の価値観との決別
第五章 朴烈との出会い
第六章 金子文子と朴烈の共同の闘い
第七章 朴烈の中津川朝鮮人虐殺事件調査から第三次爆弾入手計画へ
第八章 破局の序曲
第九章 朴烈・金子文子と不逞社同人の逮捕、起訴
第一〇章 天皇制との対決
第一一章 死への準備――自伝執筆と結婚届提出
第一二章 大審院法廷での朴烈と金子文子
第一三章 死刑判決と「恩赦」
第一四章 金子文子の死
第一五章 日本近代思想史のなかの金子文子の位置

《付録》
 金子文子・朴烈書簡集
 金子文子・朴烈関係文献目録
 金子文子・朴烈年表
 朴烈・金子文子事件裁判年表

あとがき









書 評





◆『東洋経済日報』(1996・12・20)






◆『北海道新聞』(1997・2・9)







◆『影書房通信 No.14』(1997・3月)







◆『ふぇみん』(1997・3・15)







◆『民権協ニュース』(1997・3月)







◆『朝鮮時報』(1997・3・20)













◆関連書◆


 『全国戦没者追悼式批判――軍事大国化への布石と遺族の苦悩』 山田昭次 著

 『難波大助・虎ノ門事件――愛を求めたテロリスト』 中原静子 著

 『治安維持法下に生きて――高沖陽造の証言』 太田哲男・高村宏・本村四郎・鷲山恭彦 編

『生命の詩人・尹東柱――『空と風と星と詩』誕生の秘蹟』 多胡吉郎 著

『あるB・C級戦犯の戦後史――ほんとうの戦争責任とは何か』 富永正三 著


『キネマに生きる――評伝・岩崎昶』 風間道太郎 著


 『〈日本の戦争〉と詩人たち』 石川逸子 著