〈だまされないためには、
だれも信じなければいい〉
〝世界をリードする創意的なウソつき〟を養成する国立のエリート中学「ウソ学校」。
校長いわく「わが校は、ウソがどのように世界を動かし、富と名誉を創りだしているかを教える学校」。将来は学んだウソで国家に貢献することが求められる。
離れ小島にあり、その実態は国家機密。韓国全土からトップレベルの子どもたちが集められ、厳しく管理・監視されるが、競争を勝ち抜いた生徒たちの将来は保証されている。
ある日、朝礼の時間に生徒が倒れた。これで3人目だ。なにかがおかしい。
校長の秘密を暴こうと4人の生徒が行動を起こすが、他人ばかりか自分自身をもあざむくことをよしとする「ウソ学校」の教育のせいか、互いへの疑心暗鬼がふくらんで……
つねに競争を余儀なくされ、親や学校、そして国からプレッシャーをかけられる生徒たち。その心理をリアルに描写しながら、スピーディーな展開で緊迫感を与えつつ、結末は「オープンエンディング」(明確な結末を提示しない終わり方)で閉じられる。
「良心を手放してでものし上がれ」という大人社会の要請に、「本当にそれで幸せになれるのか?」との鋭い問いを投げかける異色のYAミステリー!
現代韓国の学歴競争社会、金権政治をも痛烈に風刺する本作は、韓国で従来の児童文学の殻を破ったと評価され、児童文学賞の審査員たちを震撼させた。
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第10回 文学トンネ児童文学賞 大賞受賞作
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〈著者・訳者 略歴〉
著者 チョン ソンヒ
何かを学びつくることが好き。いつの日か、生活に必要なものすべてを自分でつくって使うという野望を抱いている。
その夢の実現のためには何より体力が必要という事実を切実に悟って、最近は毎日一日も欠かさず横になりながら体をきたえる方法について考えている。
それで、南山(ナムサン)にも行ってみたり清渓川(チョンゲチョン)を散策しながら、「どうすれば良い文章が書けるだろうか?」「120歳まで文章を書きつづける方法とは何だろうか?」と悩んだりもしている。
1979年韓国・江原道(カンウォンド)生まれ。現在はソウル在住。
2009年、本作『ウソ学校』で第10回「文学トンネ児童文学賞」を受賞、作家として活動をはじめた。
他の主な作品:『わたしはネズミ』(2010年)、『妖怪少年』(2012年)、『プルガサリとすごした夏』(2014年)、『ネコは知っている!』(2015年)、『統一韓国第1高等学校』(2017年)〔以上未邦訳〕ほか。
訳者 呉 華順(オ ファスン)
東京生まれ。青山学院大学法学部卒業後、韓国の慶煕大学大学院国語国文科修士課程修了。第1回「新韓流文化コンテンツ翻訳コンテスト(ウェブコミック日本語部門)」優秀賞受賞。「韓国文学翻訳新人賞(文化コンテンツ映画字幕日本語部門)」大賞受賞。
著書:『なぜなにコリア』(共同通信社)。
訳書:『準備していた心を使い果たしたので、今日はこのへんで』(扶桑社)、『天使たちの都市』(新泉社)、『ボンジュール,トゥール』(影書房)、『罰と罪』上・下巻(ハヤカワ文庫)、『つかめ!
理科ダマン』1~10巻、『つかめ! 英語ダマン』(以上マガジンハウス)ほか多数。
共訳書:『失花』、『B舎監とラブレター』、『雨日和』(以上書肆侃侃房)ほか。
(本書刊行時点)
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