総理大臣が必要と認めれば、基地などの「重要施設」の周辺や国境離島の土地・建物の所有者・利用者の「調査」や「情報提供」を求めることができるとする「土地規制法」が2021年6月16日成立。
「立法事実」はない、安全保障上の不安を訴える「意見書」もない! 防衛省は「自衛隊の運用等に具体的に支障が生じるような事態は確認されていない」と答弁! 勧告・命令・罰則の対象となる、基地などの重要施設の「機能阻害行為」が何なのかも明示されない!!
在日米軍の専用施設が集中する沖縄県は、この法律で区域指定されれば、全県民が調査対象とされる。沖縄戦の混乱の中で土地が米軍に強制収用され、日々、事件・事故の「基地被害」に苦しむ沖縄県民の側が潜在的な犯罪者とされる。調査されるべきは、「被害」を生み出す側のはずだ。
わずか26時間の国会審議で成立した「稀代の悪法」。そう呼ばれる理由、背景にある排外主義、野党の追及で明らかになった政府のごまかし答弁、そして、米軍基地の集中と自衛隊配備の進む沖縄への影響をわかりやすく解説。沖縄在住の市民、ジャーナリスト等のコラムも収録。
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〈著者略歴〉
[編著者]
●馬奈木厳太郎 まなぎ・いずたろう 弁護士。1975年生まれ。福岡県出身。大学専任講師(憲法学)を経て現職。
福島原発事故の被害救済訴訟(生業訴訟)に携わるほか、演劇界や映画界の#MeTooやハラスメント問題などにも取り組む。ドキュメンタリー映画『大地を受け継ぐ』(井上淳一監督、2015年)の企画、『誰がために憲法はある』(井上淳一監督、2019年)の製作、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(平良いずみ監督、2020年)の製作協力、『わたしは分断を許さない』(堀潤監督、2020年)のプロデューサー、『Blue Island 憂鬱之島』(チャン・ジーウン監督、2022年)のプロデューサーを務めた。
著書に『<徹底検証>住民・市民を監視する土地規制法』(土地規制法を廃止にする全国自治体議員団との共著、かもがわ出版)など。
[コラム執筆者]
●片山かおる かたやま・かおる 東京都小金井市市議。1966年長崎県生まれ、東京都出身。2009年小金井市議会議員に初当選、現在4期目。
Okinawa-Koganei(沖縄の基地問題を考える小金井の会)、いかそう!子どもの権利条例の会、「教育ってなんだろう?」こがねい連絡会、武蔵野はらっぱ祭り実行委員会、新型コロナ災害緊急アクション、日韓市民交流を進める希望連帯、市民自治をめざす三多摩議員ネット、福島原発震災情報センター、全国フェミニスト議員連盟などに所属。
●島袋貞治 しまぶくろ・さだはる 琉球新報記者。1977年沖縄県那覇市生まれ。2001年琉球新報社入社。北部情報部長、社会部長、論説委員を経て、21年10月から編成グループ副グループ長。
著書に『奔流の彼方へ 戦後70年沖縄秘史』(琉球新報社)など。琉球新報・山陰中央新報合同企画『環りの海 竹島と尖閣 国境地域からの問い』(岩波書店)の取材班で2013年新聞協会賞。2011年から里親登録。一時保護など子どもの社会的養護などにも取り組む。
●布施祐仁 ふせ・ゆうじん ジャーナリスト。1976年東京都生まれ。
著書に『経済的徴兵制』(集英社新書)、『日米密約 裁かれない米兵犯罪』(岩波書店)、『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(伊勢﨑賢治氏との共著、集英社クリエイティブ)など。『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』で平和・協同ジャーナリスト基金賞、JCJ賞を、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(三浦英之氏との共著、集英社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。
●宮良麻奈美 みやら・まなみ 石垣市住民投票を求める会・事務局。1992年生まれ。沖縄県石垣市出身。
石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施を求め、2018年より活動を開始。
●山添 拓 やまぞえ・たく 参議院議員(日本共産党)。弁護士。1984年京都府出身。2011年弁護士登録。2016年参議院議員初当選。
弁護士登録後、福島第一原発事故の被害救済に取り組む弁護団、過労死弁護団、首都圏青年ユニオン弁護団、国公労連賃下げ違憲訴訟弁護団などに加わる。自由法曹団、日本労働弁護団、青年法律家協会に所属。明日の自由を守る若手弁護士の会会員。
●与那城千恵美 よなしろ・ちえみ 普天間第二小学校保護者。沖縄県宜野湾市出身。
2017年、長女の通っていた沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園に米軍ヘリの部品が落下した事故をきっかけに、保護者らとともに「チーム緑ヶ丘1207」を結成(現在は「#コドソラ」)。同保育園ほか普天間小学校、普天間第二小学校などの上空での米軍機飛行禁止を求め活動中。
(本書刊行時点)
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