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★画像クリックで拡大★日本政府の脱法的・反民主主義的手法を問う
新垣 毅、稲嶺 進、高里鈴代、高木吉朗、宮城秋乃、木村草太、
紙野健二、前川喜平、安田浩一 著
これが民主主義か?
辺野古新基地に〝NO〟の理由
2021年1月下旬刊
A5判並製 208頁
定価 1900円+税
ISBN978-4-87714-487-6 C0036
装丁:桂川潤
●目次
●書評
●関連書
2019年2月、沖縄県民は県民投票で「辺野古埋め立て❝NO❞」の民意を示しました。
しかし、国はその結果を一顧だにせず、辺野古の海への土砂投入を強行しつづけています。
これは、民主主義国の健全な姿と言えるでしょうか?
沖縄では、米軍関係の事件・事故が、沖縄戦の終結前後から今日までとぎれることなく発生してきましたが、そのたびに沖縄県民は抗議の意思を示してきました。
それでも国は、〈基地負担軽減〉や〈普天間の危険除去〉を言いながら、現実や歴史、法律さえねじ曲げ、時に沖縄への〈差別〉を助長し、強権までも発動して、〈辺野古新基地建設〉という新たな負担を押しつけようとしています。
〈国防〉の名の下に、沖縄の民意を押しつぶす政治が続いています。
それを止めるのが民主主義社会ではないでしょうか。
〈著者略歴〉
●新垣 毅 あらかき つよし
1971年生まれ。沖縄県出身。琉球新報論説委員・政治部長。
2015年沖縄の自己決定権を問う一連の報道で、第15回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」受賞。
著書:『続 沖縄の自己決定権 沖縄のアイデンティティー――「うちなーんちゅ」とは何者か』(高文研)、『沖縄の自己決定権――その歴史的根拠と近未来の展望』(高文研)ほか。
●稲嶺 進 いなみね すすむ
1945年生まれ。沖縄県出身。前名護市長(2010年~2018年)。
●高木吉朗 たかぎ きちろう
1969年生まれ。広島県出身。弁護士(コザ法律事務所所属)。
嘉手納基地爆音差止訴訟弁護団、普天間基地爆音差止訴訟弁護団、辺野古埋立承認処分取消訴訟弁護団。
共著:『法廷で裁かれる日本の戦争責任――日本とアジア・和解と恒久平和のために』(高文研)、『公害環境訴訟の新たな展開――権利救済から政策形成へ』(日本評論社)ほか。
●高里鈴代 たかさと すずよ
1940年台湾生まれ。沖縄県出身。「強姦救援センター・沖縄」代表。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表、「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」沖縄代表。
1997年「土井たか子人権賞」受賞。2005年「1000人の女性をノーベル平和賞へノミネート」の一人に選出。2011年「沖縄タイムス賞(社会活動)」受賞。
著書:『沖縄の女たち――女性の人権と基地・軍隊』(明石書店、エイボン功績賞・1996年)ほか。
●宮城秋乃 みやぎ あきの
1978年生まれ。沖縄県浜比嘉島出身。蝶類研究者。日本鱗翅学会・日本蝶類学会会員。2017年新崎盛暉平和活動奨励基金で助成交付者に選出。2018年『ぼくたち、ここにいるよ――高江の森の小さないのち』(影書房)で「沖縄タイムス出版文化賞(児童部門)」受賞。2020年「多田謡子反権力人権賞」受賞。
著書:『ぼくたち、ここにいるよ――高江の森の小さないのち』(影書房)
●木村草太 きむら そうた
1980年生まれ。東京都出身。東京都立大学教授(憲法学)。
著書:『ほとんど憲法:小学生からの憲法入門(上・下)』(河出書房新社)、『木村草太の憲法の新手(1・2)』(沖縄タイムス社)、『自衛隊と憲法――これからの改憲論議のために』(晶文社)ほか。
●紙野健二 かみの けんじ
1951年生まれ。大阪府出身。名古屋大学名誉教授(行政法学)。
共著:『翁長知事の遺志を継ぐ――辺野古に基地はつくらせない』(自治体研究社)、『辺野古訴訟と法治主義――行政法学からの検証』(日本評論社)、『沖縄・辺野古と法 Nippyo One Theme e-Book』(日本評論社)ほか。
●前川喜平 まえかわ きへい
1955年生まれ。奈良県出身。現代教育行政研究会代表。元文部科学事務次官。2018年から日本大学文理学部非常勤講師。
著書:『面従腹背』(毎日新聞出版)/共著:『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2020年前半――忘却させない。風化させない。』(論創社)ほか。
●安田浩一 やすだ こういち
1964年生まれ。静岡県出身。『週刊宝石』などを経て2001年よりフリーライター。2012年『ネットと愛国』(講談社)で「講談社ノンフィクション賞」受賞。15年『G2』(講談社)掲載記事「外国人隷属労働者」で「大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)」受賞。
著書:『愛国という名の亡国』(河出新書)、『団地と移民――課題最先端「空間」の闘い』(KADOKAWA)、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)ほか。
(本書刊行時点)
書 評
●「図書新聞」2021.6.12より
●「琉球新報」2021年4月25日より
⇒ https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1311081.html
<書評>『これが民主主義か? 辺野古新基地に“NO”の理由』
閉塞する日本を開くカギ
安倍・菅両政権下で民主主義は傷つき、権力の集中は独裁に向かっている。その象徴が原発維持政策であり、森・加計学園問題、桜を見る会に関連した不正支出など不祥事の数々だ。象徴の一端でもある辺野古新基地建設問題に関し、本書は「日本の民主主義の問題だ」と、読者の視野を広げてくれる。
前名護市長の稲嶺進は「アメとムチ」政策にあらがう自治体の苦闘を振り返る。高里鈴代は殺人、暴行などおびただしい数の女性被害事件を基に米軍の「構造的暴力」を告発する。チョウ研究者・宮城秋乃は世界自然遺産候補地でもある北部訓練場跡地の残留汚染を報告している。軍隊の存在は女性の尊厳、地方自治や希少な自然を破壊し続けている。
軍用地強制使用や爆音差し止め、知事代理署名、辺野古埋め立て承認取り消しなどの各訴訟で、多くの県民にとっては不当とも言える判決が続いてきた。高木吉朗、木村草太、紙野健二ら法曹関係者は「憲法の上に地位協定、安保条約がある」などと法治国家の崩壊だと警鐘を鳴らす。不条理は沖縄だけの問題ではない。日米の軍事一体化による「本土の沖縄化」、米軍機の低空飛行など基地被害の本土への拡大は、国民に問題意識の共有を促している。
独裁、差別社会は批判者を排除する。在特会やネット右翼批判で矢面に立つ安田浩一は「ヘイトと沖縄バッシングは地下茎でつながっている」と指摘する。安倍政権を追放された元文科省事務次官前川喜平は教科書の「集団自決」削除をただし、歴史教育の偏向と安保法制、敵基地攻撃論、中国敵視戦略が根底でつながっていることを示唆した。
アンカー役の琉球新報政治部長、新垣毅が説く沖縄の自己決定権実現は日本の民主主義復権につながる。「沖縄問題」の処方箋は、閉塞(へいそく)する日本の未来を開くカギとなりうる。そのための視点を本書は与えてくれる。
(新垣邦雄・東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター事務局長)
新垣毅(琉球新報政治部長)、稲嶺進(前名護市長)、高木吉朗(弁護士)、高里鈴代(基地・軍隊を許さない女たちの会共同代表)、宮城秋乃(チョウ類研究者)、木村草太(東京都立大教授)、紙野健二(名古屋大名誉教授)、前川喜平(元文部科学事務次官)、安田浩一(フリーライター)の9氏が執筆した。
●「ふぇみん」No. 3286 2021.5.15より
高里鈴代、宮城秋乃、木村草太、前川喜平、安田浩一らが、「国の安全保障」のかけ声のもと、沖縄の民意が押し返されないために知っておくべきことを説く。基地建設強行は差別だ。ファクトチェックにも役立つ。
◆関連書◆
『ぼくたち、ここにいるよ―高江の森の小さないのち』 アキノ隊員 写真・文
【小学中学年以上~大人まで】
『ヤンバルの深き森と海より』 目取真俊 著
『友だちを助けるための国際人権法入門』 申 惠丰 著
『山羊の肺 沖縄 一九六八-二〇〇五年【復刻版】』 平敷兼七 著
『虹の鳥』 目取真俊 著
『眼の奥の森』 目取真俊 著
『目取真俊短篇小説選集1 魚群記』 目取真俊 著
『目取真俊短篇小説選集2 赤い椰子の葉』 目取真俊 著
『目取真俊短篇小説選集3 面影と連れて』 目取真俊 著
『平和通りと名付けられた街を歩いて 目取真俊初期短篇集』 目取真俊 著 【品切】
『目取真俊の世界(オキナワ)――歴史・記憶・物語』 スーザン・ブーテレイ 著
『沖縄おんな紀行――光と影』 もろさわようこ 著