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フクシマを凝視する。フクシマから凝視する

五十嵐 進 著
雪を耕す―フクシマを生きる


2014年12月刊
四六判並製226頁
定価 1800円+税
ISBN978-4-87714-452-4 C0095


●目次
●書評
●関連書




味無臭無色ってくる

飯豊(いいで)山腹季語葬送

会津・喜多方に住み、父祖伝来の土を耕す著者。
巧みに操作された情報を消去・訂正しつつ、畑の土を起こし、耕し、畝を作りながら、放射能を鋤き込んでしまっていいのか、迷い、考える。そして、この日々を俳句に詠み、記録する。

農をつづけながらフクシマを生きる、一人の俳人によるフクシマ・レポート。
3・11以後、フクシマに生きつづける日々の「定点観測」記に加え、被災地の苦悩を「他人事」と切り捨てる政府や俳壇を鋭く射抜く俳句と俳句評論を収めた異色の俳文集。




〈著者紹介〉
五十嵐進

(いがらし・すすむ)

1949年喜多方市生まれ。
福島県立高校教員(国語科)として38年勤務。
4年前に退職。俳人永田耕衣・歌人塚本邦雄に魅かれ、
主催句誌「琴座(リラザ)」、歌誌「玲瓏」で修業。
現在、句誌「らん」に構成員として俳句作品・小文を発表。
田畑を少し遺されたので晴耕雨読三昧の日々を送っている。
句集に『指』『引首』『いいげるせいた』がある。






◆『雪を耕す―フクシマを生きる』 目次◆

一、農に入る年―フクシマのはじまり

二、雪を耕す
30句 3・11以後(Ⅰ)

三、フクシマを生きる
―会津・喜多方にて
フクシマを生きる
農をつづけながら…フクシマにて

四、極私的関心事としての震災後俳句
長谷川櫂
二つの座談会の発言をめぐって
筑紫磐井
平敷武蕉・角川春樹
高野ムツオ

五、空を脱ぐ 45句 3・11以後(Ⅱ)

うしろ書き










書 評








●「東京新聞」(2015年3月9日)より






●「出版ニュース」(2015年3月上旬号)より








●「俳句四季」(2015年3月号)より
評者:筑紫磐井








●「横校労」No.482(2015年2月号)より
評者:田中敏治






●「触光」No.41(2015年2月発行)より







●三省堂書店×WEBRONZA 神保町の匠 より
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2015011500007.html
評者:西 浩孝


まやかしを射抜く俳人の告発


 著者の五十嵐進氏は会津の俳人。県立高校の教員(国語科)を勤め上げ、現在は農をつづけながら喜多方に暮らしている。本書は3・11以後の「フクシマ定点観測記」である。

 タイトルは自身の句「雪を耕す地表の情理刺すために」から。雪は父祖伝来の土地に降り積もる放射性物質のメタファーだろう。

 では情理とは何か。

 私の解釈では、それは「まやかし」である。

 政治家による、行政による、企業による、マスコミによる、専門家によるまやかし。そしてその状況を「甘んじて」受け入れているわれわれ自身のまやかし。 ……続きはこちらへ








◆関連書◆

 『増補新版 隠して核武装する日本』 槌田敦・藤田祐幸・井上澄夫・山崎久隆・
中嶌哲演・小若順一・望月彰・渡辺寿子・原田裕史・柳田真 著
核開発に反対する会 編 / 絵=橋本勝

 『増補新版 広島の消えた日――被爆軍医の証言』 肥田舜太郎 著

 『脱原発で住みたいまちをつくる宣言 首長篇』 井戸川克隆、村上達也、桜井勝延 他著

 『時代と記憶――メディア・朝鮮・ヒロシマ』 平岡 敬 著

 『無援の海峡――ヒロシマの声、被爆朝鮮人声』 平岡 敬 著

 『ヒバクシャ――ドキュメンタリー映画の現場から』 鎌仲ひとみ 著

 『六ヶ所村ラプソディー――ドキュメンタリー現在進行形』 鎌仲ひとみ 著

 『六ヶ所村 ふるさとを吹く風』 菊川慶子 著

 『市民電力会社をつくろう!――自然エネルギーで地域の自立と再生を』 小坂正則 著

 『暗闇の思想を/明神の小さな海岸にて』 松下竜一 著