被爆地には多くの朝鮮人たちが居住していた。しかし戦後、彼ら・彼女らに救援の手が差し伸べれられることはほとんどなかった。著者はそんな彼ら、彼女らの声をたんねんに記録。そして、日本国家の、日本人の加害の歴史に対する責任感の欠落を厳しく告発し、国家を超克する平和と人権の思想を追求する。元広島市長、新聞記者時代の渾身のルポ。
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〈著者略歴〉
平岡
敬(ひらおか・たかし)
1927年、大阪市生まれ。広島県出身。 早稲田大学第一文学部卒業後、1952年、中國新聞社入社。同社編集局長、中国放送社長などを経て、1991年より広島市長を2期8年務める。 記者時代から被爆韓国・朝鮮人の支援活動などを行い、市長になってからも被爆者への援護を訴え続けた。95年には、オランダ・ハーグの国際司法裁判所で、核廃絶に消極的な日本政府の方針に抗して、核兵器の国際法上の違法性を強く訴え、世界の人々の反響を呼んだ。96年の「原爆ドーム」の世界遺産登録にも尽力した。 現在、中国・地域づくり交流会会長。旧ソ連の核実験による被曝者の救援活動やカンボジアに「ひろしまハウス」を建設するなど、NGO活動を精力的に続けている。
著書に、『時代と記憶』(影書房)、『偏見と差別』(未來社)、『希望のヒロシマ』(岩波新書)などがある。
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