中東地域からラテンアメリカへ海を渡っていった人びとの歴史と現在の〝物語〟――
新旧の映画を読み解きつつ、またグアテマラ出身の「レバノン系」作家E・ハルフォンの小説作品ほかを媒介させながら、レバノンやシリアなど中東地域からラテンアメリカへ生活拠点を移していった人びとの、一世紀半にわたる足跡の一端を辿るユニークな書。
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〈編・著・訳者略歴〉
飯島みどり〈いいじま みどり〉(編・著・訳)
1960年東京生まれ。ラテンアメリカ近現代史。立教大学教員。
訳書にサルマン・ラシュディ『ジャガーの微笑――ニカラグアの旅』、ロケ・ダルトン他『禁じられた歴史の証言』(いずれも現代企画室)、歴史的記憶の回復プロジェクト編『グアテマラ 虐殺の記憶――真実と和解を求めて』(共訳、岩波書店)、ダニエル・エルナンデス-サラサール写真集『グアテマラ ある天使の記憶』(編訳、影書房)、エドゥアルド・ガレアーノ『スタジアムの神と悪魔』、『火の記憶 1・2・3』(いずれもみすず書房)、アリエル・ドルフマン『南に向かい、北を求めて――チリ・クーデタを死にそこなった作家の物語』(岩波書店)ほか。
シルアン・ムウシ Siluan Muci (著)
レバノン・シリアを出自とする両親の下、1967年ベネスエラ北部マラカイ市に生まれる。ベイルートのサン・ジョゼフ大学で工学を、ギリシアのテッサロニキ・アリストテレス大学で神学を修める。1996年以降聖職の道に入りラタキア、アレッポ、シドニーなどへ赴任。2006年ギリシア正教会アンティオキア座アルゼンチン大主教区の府主教に任ぜられる。2018年レバノンのビブロス、ボトリスなどを統括するマウント・レバノンの大主教区へ転任。説教集を始めとするスペイン語の著作多数。
エドゥアルド・ハルフォン Eduardo Halfon (著)
1971年グアテマラ共和国グアテマラ市生まれ。祖父の誘拐事件を機に一家で渡米。ノースカロライナ州立大学工学部卒。2007年ヘイ・フェスティバル(ボゴタ)主催「39歳以下のラテンアメリカ中堅作家39名の集い」に招かれる。グアテマラやニューヨークの大学で文学を講じつつ創作に従事。代表作『ポーランドのボクサー』(2008 邦訳・白水社)、『父の言う「明日」はついぞ来ない』(Mañana nunca lo hablamos, 2011)、『修道院』(Monasterio, 2014)、『ホフマン氏』(Signor Hoffman, 2015)、『決闘あるいは喪』(Duelo, 2017)、『カンシオン』(Canción, 2021)、など。2015年仏ロジェ・カイヨワ記念ラテンアメリカ文学賞、2018年グアテマラ国民文化賞を受賞。スペイン、米国、フランスなど各地で執筆活動を展開し、現在はベルリン在住。
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