影書房

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奪われた朝鮮の文化財の行方とその魂


()(ムン)著  ()一満 (イルマン)
民族文化財を探し求めて
――朝鮮の魂の回復
品切


2014年9月刊
四六判上製161頁
定価 1800円+税
ISBN978-4-87714-449-4


●目次
●書評
●関連書




「朝鮮王朝実録」、「朝鮮王室儀軌」など、国外に持ち出された朝鮮の貴重な文化財は、どのような運命の下に奪われ、返還に至ったのか。
研究と実践における第一人者である著者が、その歴史的経緯と奪還への道程を記した渾身の書。

【著者の言葉から】
文化財回復は、単に奪われた文化財を元の場所に戻せばすむということではない。
それはわが祖先が末裔たちに引き渡してくれた精神を探し求める過程であり、われわれ自らが主人であることに目覚める過程である。
そのような趣旨から朝鮮半島の100年前の悲しい歴史を拭い、朝鮮民族が朝鮮の主人であることを確認する運動として文化財回復運動が立ち位置を占め、分断を乗り越え民族の復興に繋がることを期待したい。



〈著者略歴〉

慧 門
(ヘ・ムン)

1998年、奉先寺で鉄眼スニム(師)を師として出家。
海雲精寺・金毛禅院で修禅・安居した後、奉先寺の末寺である白雲山興龍寺で住職を務めた。
現在は奉先寺に籍を置いている。
2005年、奉先寺の末寺である内院庵と関連した親日派財産違憲法律審判請求をかわきりに、三星リウム博物館を相手に懸灯寺舎利具回復運動を展開する等、不当に持ち出された仏教文化財回復運動に参加した。
2006年には、東京大学が所蔵していた「朝鮮王朝実録」五台山史庫本回復運動をくり広げ、回復に成功した。
また「朝鮮王室儀軌還収委員会」の事務局長として「朝鮮王室儀軌」回復運動の先頭に立ち、
朝鮮総督府が不法に搬出した1205点の文化財を日本政府から回復(2011年)する上で決定的な役割を果たした。
著作には『朝鮮を殺す』『儀軌―取り戻した朝鮮の宝物』等がある。
現在、文化財チェジャリ・チャッキ代表として活躍、国外に搬出された文化財回復運動を実践・主導している。
奪われた朝鮮の文化財の真実を正す研究と実践における、自他共に認める先駆者である。

訳者李 一満(リ・イルマン)
1944年11月生まれ。
1971年3月、朝鮮大学校(歴史・地理学部)卒業。
東京朝鮮中・高級学校と群馬朝鮮初・中級学校で等で教鞭をとる。
2004年9月から東京朝鮮人強制連行真相調査団事務局長。
訳書に『幸せな統一のはなし』『鼠耳読経』(いずれも「民族21」愛読者の会)がある。




◆『民族文化財を探し求めて』 目次◆

日本語版に寄せて
はじめに
プロローグ  歪んだ光化門で

第1章  還国の影、取り戻した文化財の虚と実
  取り戻した朝鮮王朝実録
  伊藤博文が盗んだ本
  明成皇后の豹皮カーペット
  わらじも文化財?
  米国が返還した朝鮮剣はどこに?

第2章  奪われた文化財の夢、元に戻すべき文化財
  仏国寺・多宝塔の石獅子
  金山寺の香婉
  大倉集古館の石造文化財
  朝鮮帝王の兜
  仏様の舎利がなぜボストンに
  文定王后の金宝
  貢物とわが文化財
  ヘンダーソン・コレクションが「天下一」といわれる理由
  李舜臣将軍の双龍剣
  韓国も文化財略奪国?
  対馬の仏像は元の場所に返すべきである

第3章  忘却の歴史 失われた記憶
  明成皇后を殺めた肥前刀
  安重根の銃弾

エピローグ  「朝鮮王室儀軌」回復運動、成功半ばで

訳者あとがき







書 評




●『出版ニュース』 2014.11.上






●『赤旗』 2014.10.19





●『朝鮮新報』 2014.9.10
http://chosonsinbo.com/jp/2014/09/0910ib/

〈本の紹介〉「民族文化財を探し求めて」慧門著・李一満訳
「奪われた側」は決して、あきらめない

 以前、作家の五木寛之さんにインタビューした時、文化財の略奪について語っていた言葉が記憶に新しい。日本の美術館、記念館、庭園には、様々な文化財が展示されている、としたうえで、「例えば、植民地時代の平壌で日本側の工兵隊まで動員して古墳をダイナマイトで破壊し、大学の教授らが学術調査の名目で墓を暴いていった。その出土品を手柄のように日本へ送ったという事実があります。これは中途半端なことではありません。奪われた側の記憶の根は深いのです」と。

 そうなのだ、「奪われた側」は決して、あきらめない。それはなぜか、本書の著者・慧門(ヘムン)師は、端的にこう語っている。「文化財回復は、単に文化財を元の場所に戻せばすむということではない。それはわが祖先が末裔たちに引き渡してくれた精神を探し求める過程であり、われわれ自らが主人であることに目覚める過程である」と。本書の副題が「朝鮮の魂の回復」と銘打っているのも頷けるところだ。師は現在文化財チェジャリ・チャッキ(元の場所に戻す)代表。植民地時代、外国に奪われた文化財を取り戻す運動を実践・主導してきた。

 3年前には「朝鮮王室儀軌還収委員会」の事務局長としてこの運動の先頭に立ち、朝鮮総督府が不法に奪った1205点の文化財を日本政府から取り戻すうえで決定的な役割を果した。

 本書はそうした文化財を取り戻すという困難きわまる運動の軌跡を感慨深く振り返った著者の書き下ろしエッセーの翻訳。何しろ、返還要求の相手は、お堅い「東京大学、宮内庁」であり、一筋縄ではいかない相手。「韓日条約」から50年、南の政府自身が日本に対して返還要求もせず、「知らんぷり」を決め込み、師が知恵を絞り、世界中を飛び回りながら懸命に活動しても、「文化財の回復は現実的には難しいだろう、卵で岩を打つようなもの」と冷笑するだけだった。

 しかし、それで屈する師ではなかった。平壌に飛び、民族文化を取り戻すための南北合意書を作成した(08年)。共同で調査すべき文化財目録に「朝鮮王室儀軌」だけでなく、伊藤博文が略奪した図書(77種1028冊、「韓日条約」時、11種90冊が返還)が言及されるなど、北側の略奪された文化財への関心は並々ならぬものがあったと述懐している。しかし、「何回も問題提起した(南の)文化財庁の反応は鈍かったし、(伊藤が略奪した)図書問題は世間の無関心の中で眠りこけていた」と嘆く。

 本書の中で、師は奪われた側の無関心さと南当局の「やる気のなさ」「人の顔色をだけをうかがう体質」、「人の成果を横取りする体質」などを列挙。結局、師をはじめ民間の血のにじむ努力によって50年間に取り戻した文化財が、「朝鮮王室儀軌」と「朝鮮王朝実録」だけだったと指摘する。

 本書を貫くのは、朝鮮の大地と歴史の主人である朝鮮民族の結集した知恵と力と勇気によってのみ、略奪された文化財が取り戻せるという自明の理である。その高潔な志と巌をも貫く執念に心から拍手を送りたい。

 なお、本書の表紙(絵)は朝鮮国王の甲冑で、東京国立博物館が所蔵している(昨秋、展示)。朝鮮朝時代、代々継承された軍事権力の最高シンボルであり、寄贈も売買もありえない。植民地時代、朝鮮全土を掘りつくし、「盗掘王」の名をほしいままにした小倉武之助(1870~1964)が持ち出したものだ。死後、東博に寄贈。慧門師は8月29日、東京国立博物館を相手どり、「保管中止申し立て書」を東京簡易裁判所に提出、受理された。
(朴日粉)









◆関連書◆


 『古代朝鮮と万葉の世紀』 朴春日 著

 『韓国歴史紀行』 崔碩義 著

 『秤にかけてはならない――日朝問題を考える座標軸』 徐京植 著