東アジアで朝鮮戦争はじめ、再び"熱い戦争"が起きていた時代、 反戦・平和、抵抗と民主主義を模索する人びとの拠点として「サークル文化運動」が興った。
筑豊、東京南部・京浜、四日市の労働者、広島・長崎の被爆地、結核療養所、都心部の職場で。そこに、上野英信、谷川雁、木下順二、鶴見和子といった文学者や桂川寛といった画家、または政党の文化部などもかかわった。詩・小説・ルポルタージュ・版画・幻灯などの創作を通じ、人びとは集い、話し合い、民主主義を実践していった。朝鮮戦争を背景とする在日コリアンたちの運動も視野に入れつつ、1950年代を中心とした文化運動の多角的な再評価・再検証をこころみる研究論集。論文9本、コラム11本、シンポジウム「サークル誌をどう読むか」の記録を収録。戦後民主主義の黎明期、新しい時代を模索した人びとの姿を浮かび上がらせる。
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〈執筆者〉
◆有薗真代 京都大学非常勤講師。『隔離壁を砦に 国立ハンセン病療養所における集団と実践』(世界思想社、近刊)。
◆池上善彦 元『現代思想』編集長。『「現代思想」の20年』(以文社)。
◆宇野田尚哉 大阪大学教員。復刻版『ヂンダレ』『カリオン』(不二出版)解説。
◆川口隆行 広島大学教員。『原爆文学という問題領域』(創言社)。
◆楠田剛士 宮崎公立大学教員。『西日本女性文学案内』(共著、花書院)。
◆黒川伊織 神戸大学国際文化学研究科協力研究員。『帝国に抗する社会運動―第一次日本共産党の思想と運動』(有志舎)。
◆坂口 博 元創言社編集長。
◆佐藤 泉 青山学院大学文学部教員。『戦後批評のメタヒストリー 近代を記憶する場』(岩波書店)。
◆申 知瑛 一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程在学中。
◆徐 潤雅 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程在学中。
◆竹内栄美子 明治大学文学部教授。『中野重治と戦後文化運動 デモクラシーのために』(論創社)。
◆田代ゆき 福岡市文学館嘱託員。企画・編著図録『サークル誌の時代 労働者の文学運動 1950–60年代福岡』。
◆茶園梨加 宮崎大学非常勤講師。『サークル誌の時代―労働者の文学運動1950–60年代福岡』(共著、福岡市文学館)。
◆坪井秀人 国際日本文化研究センター教員。『感覚の近代─声・身体・表象』(名古屋大学出版会)。
◆鳥羽耕史 早稲田大学教員。『1950年代 「記録」の時代』(河出書房新社)。
◆友常 勉 東京外国語大学教員。『脱構成的叛乱 吉本隆明・中上健次・ジャジャンクー』(以文社)。
◆中谷いずみ 奈良教育大学教員。『その「民衆」とは誰なのか』(青弓社)。
◆根津壮史 中央大学大学院総合政策研究科博士前期課程修了。
◆水溜真由美 北海道大学大学院文学研究科教員。『『サークル村』と森崎和江―交流と連帯のヴィジョン』(ナカニシヤ出版)。
◆道場親信 和光大学教員。『占領と平和―〈戦後〉という経験』(青土社)。〔2016年9月逝去〕
◆米谷匡史 東京外国語大学・総合国際学研究院教員。『アジア/日本』(岩波書店)。
◆鷲谷 花 成城大学非常勤講師。『淡島千景 女優というプリズム』(共編、青弓社)。か。
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