池袋小劇場の代表を長年つとめた関きよし氏と、劇作・演劇評論家である吉田一氏による「木下順二論」。劇作家としてのみならず、文学者、思想家としても活躍した木下順二の初期の劇作である『山脈(やまなみ)』(1950年)、『暗い火花』(1950年)、『蛙昇天』(1951年)の三作品を通して、木下が、天皇制ファシズムの時代から敗戦後、そして逆コースの時代を歩むことになる日本の「戦後民主主義」に賭ける思いを読み取り、現代の課題として再提示しつつ、作家が果たした芸術的・思想的業績の全体像に迫る。演出家と批評家の共同研究。
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〈著者略歴〉
関きよし(せき・きよし)
1926年7月26日、東京府板橋に生まれる。父は玩具卸商の英治、母は茂(しげる)、ともに長野県中野市生まれ。19年生まれの兄幸夫がいた。
1943年、芝商業学校卒業。44年、早稲田大学入学。47年、文学部国史科在籍、新協劇団演出部に入る。51年、猿田日奈子と結婚。59年2月より練馬区中村三丁目在住。64年7月、長男定已生まれる。自宅で私設「風の子文庫」をひらく。
65年から舞台芸術学院講師、71年4月から2010年12月まで池袋小劇場代表。
著書に『夢空間―池袋小劇場の30年』(2003年新読書社刊)がある。
吉田 一(よしだ・はじめ)
1934年、東京に生まれる。1955年、「演劇集団土の会」を創立。
戯曲作品に『父さんもっと自分のことを話せよ』、『“回収不能”の戦記』など。
著書に、『青果「平将門」の世界』『藤原定家―美の構造』『久保栄「火山灰地」を読む』(以上、法政大学出版局刊)、『女のうた 男のうた』『演劇人こばやしひろし』(以上、西田書店刊)、『木下順二・その劇的世界』(影書房刊)、『ドラマチスト小島真木の半世紀』(ゆめ工房刊)がある。
全日本リアリズム演劇会議(全リ演)機関誌「演劇会議」の編集委員。
(本書刊行時点)
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