「人殺し!」法廷での叫びは裁判官に向けられていた……

根本行雄
司法殺人
――「波崎事件」と冤罪を生む構造


2009年2月刊
四六判上製 236頁
定価 2000円+税
ISBN978-4-87714-388-6 C0032

●目次
●書評
●関連書



罪を生み出す構造的欠陥を抱える日本の警察・検察・司法。そして警察発表を鵜呑みにして容疑者段階から犯人扱いで報じる報道機関も「冤罪を生む構造」の重要な一角を占めてきた。これらの改革が進まない限り、新たな冤罪はつくられつづける。
1968年に起きた、「自白も物証もなく、目撃証人もいないのに、死刑判決」という特異な事件であった「波崎(はさき)事件」を中心に追いながら、過去の冤罪事件や欧米の陪審制なども参照しつつ、日本の司法制度の問題点を分かりやすく具体的に分析・検証する。★高校生から

〈著者略歴〉
根本行雄(ねもと・ゆきお)

1953年、千葉県銚子市に生まれる。
1976年、龍谷大学文学部哲学科哲学専攻卒業。
1979年、「松岸学習塾」を開設し、近隣に住む小学生に算数と作文、中学生に英語と数学などを教えながら、哲学および文学(創作行為論)の研究と市民運動をしている。
現在「人生哲学研究会」代表。「日本科学哲学会」会員。「科学読物研究会」会員。「日本数学協会」会員。「波崎事件対策連絡会議」会員。「陪審裁判を考える会」会員。成田「実験村」村民。
著書:『科学の本っておもしろい』第3集・第4集(連合出版)、『新・科学の本っておもしろい』(連合出版)に執筆。
ホームページ「地球展望台」:http://homepage3.nifty.com/AIYKO19/
      *
「波崎事件の再審を考える会」のホームページ:http://www.asahi-net.or.jp/~VT7N-YND/

(本書刊行時点)






◆『司法殺人』目次

まえがき
第一章 波崎事件とは
 事件発生当時(一九六三年)の波崎
 冨山常喜さんについて
 被害者について
 事件発生の前日
 急死から殺人事件へ
 死後再審開始の夕べに参加して

第二章 冤罪を生む構造@ 警察について
 私たちの身近なところで「冤罪」は発生しています
 捜査の三段階
 まず見込み捜査から始まり、別件逮捕が利用されます
 日本の勾留時間は異常に長い
 再逮捕について
 代用監獄とは
 代用監獄を利用した取調べでは拷問が行われています
 「自白は証拠の女王である」とは
 ミランダ・ルールについて
 黙秘権は確立されていません
 警察は証拠物を捏造します
 警察は証人を買収したり、捏造したりします
 ポリグラフ検査は悪用されています
 警察は「予断と偏見」に基づく捜査をします
 代用監獄を利用した取調べは人権侵害です

第三章 冤罪を生む構造A 検察について
 検察は証拠隠し、証人隠しをします
 追起訴について
 検察官の上訴権
 被疑者段階での人権擁護のために
 検察の問題点

第四章 冤罪を生む構造B 報道機関について
 日本の犯罪報道の特色
 波崎事件の報道ぶり
 市民の人権を守る報道へ

第五章 冤罪を生む構造C 裁判所について
 裁判とは
 とても珍しい供述調書
 三審制について
 「自由心証主義」の濫用
 裁判官の奇妙な論理
 田上裁判長の訴訟指揮
 裁判所の問題点

第六章 陪審制と参審制、そして裁判員制
 陪審裁判と参審制について
 裁判員法成立までの流れ
 裁判員制度の問題点

第七章 司法殺人
 冨山さんは獄中で亡くなりました
 死刑制度に反対する理由
 死刑確定囚の獄中生活
 被害者遺族の報復感情
 改悛し、更生した死刑囚
 死刑廃止は世界の世論です

付録 日本の主な冤罪事件
白鳥決定と財田川決定/免田事件/財田川事件/松山事件/島田事件/帝銀事件/名張毒ぶどう酒事件/狭山事件/袴田事件/布川事件/吉田岩窟王事件/弘前大学教授夫人殺し事件/松川事件/二俣事件/青梅事件/菅生事件/徳島ラジオ商殺し事件/八海事件/甲山事件/松本サリン事件

引用文献/参考文献
あとがき
追記







書 評

(準備中)















◆関連書◆

 『殺したらいかん―益永スミコの86年』 ―益永スミコ 著