書 評 佐藤征子著 『松田解子とわたし――往復書簡・ふるさとに心結びて』 |
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◆『女性ニューズ』2003年6月10日より この往復書簡集は、松田解子さんの申し出に佐藤征子さんが同意して刊行された。『おりん口伝』の著者・松田さんが郷里・秋田協和町へ講演へ来た1978年から、佐藤さんが協和町の役場を退職する2002年までの25年間に、松田さんからは148通、佐藤さんからは132通の書簡が交わされた。2人ともがその全部を保存していたのだ。 末尾に添えられた佐藤さんの文章に詳しいが、松田さんは明治37年、秋田の荒川鉱山で生まれ、鉱山の暮らしや労働問題、公害訴訟など社会情勢に常に目を注ぎ、文学と政治活動一筋の現役である。 90歳を越えても意思表示のためとデモに出かけ、97歳の今も、講演や原稿依頼に追われる日々が書簡にも表れていて、佐藤さんならずとも松田さんの行動力に驚かされる。 私信だけに折々の二人の心情や対応が親身に伝わってくる。松田さんの70歳以後の活動記録とも読めて貴重だ。(陽) |
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